【10月9日 AFP】ウガンダの首都カンパラ(Kampala)でスタイリストとして働くニックさん(23)は、毎週日曜の朝に通う教会の他に、もう一つ、日曜の夜に通う神聖な場所がある。

「ここでは、1週間頑張るための元気がもらえる」と、彼は人目を引かない場所にあるバーの外でビールを片手に語った。「ここに来たら、徹夜して仕事に行っても気にならない。幸せで新しい気分になって仕事に行けるから。素晴らしい日曜だ」

 カンパラのナイトクラブが乱立する通りからは離れたビジネス街にあるこのバーは、平日は何も知らない異性愛者のウガンダ人で賑わう。

 だが、かやぶき屋根の下にディスコフロアの蛍光ライトが輝くこのバーは、日曜の夜、あっというまに過ぎ去っていく6時間だけ、ウガンダの同性愛者たちにとって、仲間と集い酒やダンスなど楽しむ天国のような場所に変わる。

「ここでは受け入れられ、差別されない」とニックさん。非公式ながらも同性愛者らによる集いの場所として選ばれたこのバーを8時ごろに訪れ、店内が客であふれかえるようになるのを待っている。そうなるのはたいてい真夜中前後からだ。

「私たちは同性愛禁止法が覆されるまで、追いかけ回されていた」と、ニックさんは言う。

 ウガンダ議会は昨年12月、同性愛行為を繰り返した者に対する終身刑や、同性愛の推奨の禁止、そして国民に対する同性愛者告発の義務を盛り込んだ「反同性愛法」を可決。ヨウェリ・カグタ・ムセベニ(Yoweri Kaguta Museveni)大統領が2月に法案に署名し新法として成立したが、8月に憲法裁判所によって覆された。

 同法が可決された後、このバーは警察によって2か月間閉鎖された。再び店を開けることができたのは、同法が覆された判決の数日後。その勝利を祝った人の数は少なかったが、「明日のことなんかどうでもいいみたいに祝っていた」と、ある活動家は振り返る。

 このバーは今、人々の「出会いと再会」の場所になっていると、トランスセクシュアルの活動家、ペペ・ジュリアン・オンジーマ(Pepe Julian Onziema)さんは言う。「ごくありふれたバーです。酒やおしゃべり、仕事の話や、新しい出会い、そして恋愛対象にも出会える」