会社員のクリスさん(19)は、16歳のときに自分がゲイだと自覚したが、家族にはまだ打ち明けていない。事実を知ったら家族は「気を失うか、死んでしまうだろう」と話すと、隣の友人とともに笑い飛ばした。

 昨年12月に反同性愛法が議会で可決されそうになったとき、クリスさんは、このバーに寄りつかないようにした。「怖かった。こういった場所でつかまってはいけない」。バーに顔を出すのは1年半ぶりだ。でも今夜は「自分と同じ人たちと一緒になって気楽に好きなことができて、いい気分だ。みんなくつろいでいるし、キスしている人もいる」という。

 DJで生計を立てるスティーブさん(19)は1年ほど前から、このバーでウガンダやナイジェリアの音楽や洋楽を流してきた。同性愛について聞かれると「最初に聞いたときはとてもびっくりした。彼らがそういうことをやっているのを残念に思う」と話しつつも、「僕には金が必要だ」と認めた。

 ウガンダの同性愛コミュニティーを対象にしたビジネスの可能性に気づいているのは、彼だけではない。

 バーの女性オーナーは、「僕たちがたまたま、これ(同性愛者であること)に気づいただけ」と考えるだけの「十分な配慮」があると、ニックさんは語る。だが彼女のような人は、ウガンダでは少数派だ。保守的なこの国では、大半の人が反同性愛法を支持している。同様の法案を再び議会に提出しようとする動きもあれば、植民地時代の刑法をもとに同性愛者が投獄される可能性もまだある。

 時計の針が月曜に向けて進むにつれ、バーで楽しい時を過ごしていた人たちも、二日酔いとともに新しい1週間を迎える心構えをし始める。でも彼らが前夜のことについて職場の同僚と話すことはない。

「ウガンダはバーが毎日営業している社交的な国なのに、私たちが本当の自分でいられる時間は週に6時間しかないなんて信じられますか?」と、オンジーマさんは問いかける。「あのバーから外に出た瞬間、私たちは知らない者同士。楽しい出来事も、なかったことになる」(c)AFP/Amy FALLON