【10月9日 AFP】トルコと国境を接するシリア北部の要衝アインアルアラブ(Ain al-Arab、クルド名:コバニ、Kobane)の奪取を狙うイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は8日、米主導の有志連合による空爆強化にもかかわらず、同町への進攻を続けた。

 非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表によると、イスラム国は8日夜、コバニ中心部に向かい約100メートル進攻。その後、戦闘はやや沈静化したが、「イスラム国」側にはシリアのラッカ(Raqa)県からの援軍が向かっているという。

 米軍によると、米主導の有志連合は同日、町近くの「イスラム国」戦闘員を標的とした空爆を計6回実施した。だが一方で、米国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官は、空爆だけではコバニの陥落を防ぐのには不十分だとの見解を示し、最終的にはシリア反体制派とイラク政府軍の「有能な」地上部隊が「イスラム国」を打ち破る必要があると指摘した。

 コバニの町は、イラクとシリアにまたがる「イスラム国家」樹立を宣言し、人質の斬首などの残虐行為を続ける「イスラム国」に対する抵抗の象徴となっている。トルコでは、主にクルド人からなるコバニの住民らに対する支援策の「欠如」をめぐる反政府デモが各地で行われ、衝突によって少なくとも19人が死亡する事態となっている。

 コバニでは、3週間にわたる「イスラム国」の進撃により約20万人が国境を越えてトルコに流入。住民らによると、「イスラム国」の戦闘員らが初めてコバニに侵入してから2日後の今もなお、約1000人が町に残っている。(c)AFP/Aris Messinis with Mohamad Ali Harissi in Beirut