【10月7日 AFP】メキシコ軍は6日、学生43人が行方不明となっているメキシコ南部のゲレロ(Guerrero)州イグアラ(Iguala)で、犯罪組織と共謀したとして非難を浴びている警察隊を武装解除し、治安維持任務を引き継いだ。

 首都メキシコ市(Mexico City)の南200キロに位置するイグアラには、政府軍部隊と憲兵隊のトラックが行き交い、検問所にも軍兵士が配備された。当局は憲兵隊ら400人以上とさらに多くの兵士を動員したと発表している。住民の1人は「市の警察の内部に組織犯罪が入り込んでいた。不安に感じていた」と述べ、軍の到着を歓迎した。

 イグアラでは複数の襲撃事件や暴動が発生した9月26日の夜に、急進的な抗議運動の中心として知られる教員養成大学の学生らがバスを奪い取り帰宅しようとしたところ、警察がバスに向けて発砲、学生らを警察車両で連れ去ったという目撃情報があった。

 当局は前週末、イグアラ郊外の丘陵地帯で地中に埋められた28人の遺体を発見。行方不明となっている学生ではないかと懸念されているが、ひどく焼け焦げた遺体のDNA検査の結果が出るまでには、少なくとも2週間を要するという。

 その後の当局発表によると、殺人を依頼されたとする男2人が、行方不明となっている学生43人のうち17人を殺害したと自供している。2人はイグアナの公安局長に現場へ向かうよう指示され、犯罪組織のリーダーから学生たちを殺害するよう命じられたと述べている。

 死者6人、負傷者25人、行方不明者43人を出したこの夜の事件には、麻薬密売組織「ゲレロス・ウニドス(Guerreros Unidos)」が関与していたと検察当局は述べている。

 メキシコ国家公安委員会のモンテ・アレハンドロ・ルビド・ガルシア(Monte Alejandro Rubido Garcia)委員長によれば、イグアラ市警の警官らは軍基地に送致され取り調べを受ける。また同時に、警官が所持している銃の中に犯罪に使用されたものがないかどうかも捜査される。

 州検察当局は前週、イグアラ市警の警官142人に事情聴取をした上で22人を拘束したと発表していた。今回の事件ではこれまでに約30人が拘束され、市長と市の公安責任者は逃走している。一方で、市内には6日、拘束された警官22人の釈放を、「ゲレロス・ウニドス」の名前で要求する旗が掲げられた。(c)AFP/Leticia PINEDA