【10月3日 AFP】ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が掌握している主要都市ドネツク(Donetsk)で2日、市内中心部が砲撃を受け赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)のスイス人職員1人が死亡した。過去数十年間で欧州最大の危機とされるウクライナ情勢の鎮静化を目指して先月初めに結ばれた停戦合意が守られていない実態が示された。

 ウクライナ政府と親露派が先月5日に停戦合意を結んで以来、ドネツク中心部が攻撃されたのは今回が初めて。

 同国東部有数の炭鉱都市で、かつては100万人近いロシア系住民が暮らしていたが現在は荒廃が進んでいるドネツク。2日午後6時(日本時間3日午前0時)少し前、中心部にある14階建てのショッピングセンターにロケット弾が撃ち込まれ、市内各地で火の手が上がった。

 AFP記者らによると、その後の砲撃でICRCのドネツク事務所の窓が割れ、付近でスイス人職員がうつぶせの状態で死亡しているのが見つかったという。

 ドネツクのある救急当局者はAFPに対し、犠牲になったのは通常はスイス・ジュネーブ(Geneva)で勤務しているICRC職員だと明かした。ICRCもツイッター(Twitter)の公式アカウントから同職員の死亡を発表。「ウクライナのドネツクで、本部近くに砲弾が着弾し、職員1人が死亡した。非常に胸を痛めている」と投稿した。

 この攻撃を行ったのが誰であるかは今のところ明らかになっていないが、欧州が仲介努力を強化しているにもかかわらず、同地域での衝突が再び激しさを増していることを示している。危機的状況は6か月目に入り、死者は3200人を上回っており、東西関係は冷戦後最悪のレベルまで冷え込んでいる。(c)AFP/Simon VALMARY and Yulia SILINA with Dmitry ZAKS in Kiev