【10月3日 AFP】香港(Hong Kong)で民主派デモ隊が5夜連続で政府本部を包囲する中、辞任を求められている梁振英(Leung Chun-ying)行政長官は2日、辞任要求には応じない構えを改めて示した一方で、デモ隊との対話のため政府高官を派遣すると発表した。

 1週間におよぶ座り込みで香港中心部を封鎖した大規模なデモ隊は、梁長官の辞任と、中国政府による完全な民主主義の保証の期限を3日午前0時(日本時間同1時)としていた。

 しかしその期限が切れる直前に梁長官は記者会見を行い、「選挙に向けた作業を継続しなければならないため、辞任するつもりはない」と述べて、デモ隊からの要求には断固応じないという方針を示した。ここでいう「選挙」とは、2017年に予定されている梁氏の後任となる次期行政長官の選挙で、デモ隊と中国政府に支援を受けている香港当局との衝突を生んだ直接の原因となった。

 一方で梁長官は譲歩も見せ、今回のデモに参加している複数の組織の一つ、香港大学生連合会(学連、Hong Kong Federation of Students)との対話の担当者として、林鄭月娥(Carrie Lam)政務官(閣僚)を任命すると発表した。

 AFP記者らによると、梁長官の談話がデモの中心地に拡声器で伝えられると、デモ隊からは強い反発の声が上がった。

 しかし、要求が拒否された場合はさらに占拠を進めると公言していたデモ指導者らは、梁氏からの対話の提案に態度を軟化させる様子を示した。香港の英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)が伝えたところによると、学連の指導者はデモの参加者らに対し、「8月31日以降、閣僚が学生や市民との対話に応じると発表したのはこれが初めてだ。重要局面を迎えている」と述べて、警察との衝突を避けるよう呼び掛けた。

 またデモの中心組織であるオキュパイ・セントラル(占領中環、Occupy Central)も、当局と学生との対話が「現在の政治的こう着状態に転機をもたらす」ことを願うとして梁長官の提案を歓迎する一方で、梁長官の辞任は引き続き要求していくと強調した。(c)AFP/Jerome TAYLOR