【10月1日 AFP】アルゼンチンのクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(Cristina Fernandez de Kirchner)大統領は9月30日に行った演説の中で、自国と米国の実業界に政権を倒され、自分も殺されかねないと発言した。

 キルチネル大統領は、アルゼンチンの実業界が「国際的な(米国の)助けを借りて、わが政権を倒そうとしている」と述べた。

 キルチネル大統領は最近、同国出身のローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王の元を訪れた際に警察から、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の標的になっていると思われる計画があると警告を受けたと説明した上で「もしも私の身に何かがあれば、目を向けるべきは中東ではなく(米国のある)北の方角だ」と述べた。

 米政府は同日、在アルゼンチン大使館を通じて自国民に、アルゼンチンに滞在する際の特別な安全対策を警告していた。その数時間後の演説でキルチネル氏は「在外公館の発表を見れば、彼らはアルゼンチンに来て、私を殺すためにイスラム国が追っているなどといった出まかせを言うべきではなかった」といら立った様子で語った。

 さらにアルゼンチン国債がSD(選択的デフォルト、一部債務不履行)に格下げされたことで、アルゼンチン・ペソが下落すると利益を得るアルゼンチン国内の大豆生産者や輸出業界、自動車企業幹部なども一味だと言い放った。

 アルゼンチンは2001年の1000億ドル近いデフォルト(債務不履行)以来、国際金融市場から閉め出されており依然、デフォルトの余波と苦闘する中で米系ヘッジファンドと米国で裁判状態にある。

 デフォルト以降、アルゼンチンは債務返済を再び軌道に乗せるために、9割以上の債権者から債務減額の同意を得たが、デフォルト時にアルゼンチン国債を安値で買い上げた米系ヘッジファンド、NMLキャピタル(NML Capital)とアウレリウス・キャピタル・マネジメント(Aurelius Capital Management)の2社は減額に応じず、米連邦地裁に訴訟を起こした。最大1600%の利益をもたらすこうした戦略を指して、アルゼンチン政府は米系ヘッジファンドを「ハゲタカ」と呼んでいる。

 7月30日には、5億3900万ドル(約590億円)の再編債務の利払い猶予期限を過ぎたために、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がアルゼンチン国債の格付けを「選択的デフォルト」に引き下げ、同国債は13年間で2度目のデフォルト認定を受けた。(c)AFP/Daniel MEROLLA