【9月30日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は29日、シリア北部のトルコ国境沿いにあるクルド人の主要な町アインアルアラブ(Ain al-Arab)までわずか数キロの地点まで進攻した。

 北大西洋条約機構(NATO)に加盟しているトルコは、国境付近の防衛強化のため戦車を配備。さらに、米主導の対「イスラム国」有志連合に参加するかどうか、今週中にも議会で審議する方針を明らかにしている。

 有志連合は同日、「イスラム国」の要地に対し新たな空爆を実施。だが、英国の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、「イスラム国」はアインアルアラブから5キロ以内にまで接近したという。アインアルアラブは戦略上重要な町で、クルド人の間ではコバニ(Kobane)と呼ばれている。

 同監視団は、「イスラム国」が約2週間前にアインアルアラブを目指し進軍を始めて以来、現在最も近くまで迫っているとしている。これを受けて、主にクルド人からなる数万人規模の住民が国境を越えてトルコ内に避難している。

 一方、トルコ側では、流れ弾が近隣の町村に届き、少なくとも3発の迫撃砲が付近に着弾した後、軍がMursitpinarの町に戦車や装甲車を配備している様子が確認された。

 トルコは「イスラム国」によって外交官や子どもを含む数十人の市民が拉致されていた間、有志連合への参加を拒否していた。しかし、拉致被害者らが解放されると、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領はトルコの立場は変わったと言明、「イスラム国」に対し強硬姿勢を取っていく構えを見せた。28日には、「関係当局で今週審議を行う。必要な場所には必ず人員を配備していく。わが国も全く関与せずでは済まされない」と述べている。(c)AFP