【9月29日 AFP】セルビアの首都ベオグラード(Belgrade)で28日、レズビアンやゲイなど性的少数者の祭典「プライド・パレード」が4年ぶりに開催された。

 2010年に行われた初のパレードでは、強硬派の国粋主義者らが参加者を襲い、警察と衝突、150人が負傷していた。当局はその後の3年間、パレード開催を禁止。欧州連合(EU)加盟を目指す同国は、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)を含む少数派の権利保護を求める圧力が掛けられており、厳重な警備の中行われた今年のパレードは、セルビアの立場が試される機会となった。

 パレードには最大1000人が参加。色とりどりの風船や旗、そして「誇り」「平和」「愛」と書かれたプラカードを掲げ、主要政府庁舎から国会前を通り、ベオグラード市庁舎前まで約2キロのコースを行進した。

 装甲車と放水銃を装備した数千人の機動隊が厳戒態勢で警備に当たり、パレードは問題なく行われた。上空には複数のヘリコプターが旋回。交通が遮断されたベオグラード中心部の会場には、特別な腕輪をした報道陣、主催者および参加者のみが入場を許された。

 パレードの開催前には、複数の極右集団がパレードに対抗する反同性愛デモを呼び掛けていたが、パレードの会場にこうした極右集団はみられなかった。

 パレードには、セルビアのコリ・ウドビツキ(Kori Udovicki)副首相、イバン・タソバツ(Ivan Tasovac)文化相、ベオグラード市のシニシャ・マリ(Sinisa Mali)市長の他、駐セルビア米大使など外国の外交官も参加。匿名を条件に取材に応じた参加者の同性愛男性(26)は、「自分の街であるベオグラードで自由に行進できて嬉しい」と語った。(c)AFP/ Jovan MATIC