【9月26日 AFP】国連(UN)は25日、西アフリカでまん延しているエボラ出血熱対策の緊急会合を開いた。出席した各国首脳は、必要な援助を早急に提供するよう要請を受けた。

 この会合は、先週開かれた国連安全保障理事会(UN Security Council)で、エボラ出血熱のまん延が世界の平和と安全の脅威になっているという認識で一致したことを受けて、潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長が招集した。会合で演説した潘事務総長は、「世界はエボラを食い止めることができる。またそうしなければならない」と述べ、「国際社会が対策を強化する時に来ている」と呼び掛けた。

 出席したバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、3000人近くが死亡し警戒を要するペースで感染拡大しているこの危機への対策は不十分だと指摘した。

 エボラ出血熱が最も広がっているリベリア・シエラレオネ・ギニア3か国の医療当局だけでは対応が追いつかず、国連はより多くの医師や看護師、医療器具や救援物資を西アフリカに提供するよう繰り返し要請してきた。

 現地では、病床数の不足により発症した患者らが入院を断られたり、隔離命令で患者から引き離された家族らが精神的苦痛を強いられたりするといった問題が生まれている。

 支援強化の要請を受けてカナダは、2700万ドル(約29億円)の資金援助を表明。またフランスも、7000万ユーロ(約97億円)を拠出する用意があると発表した。国連はエボラ対策費として、10億ドル(約1090億円)近い資金が必要になると試算している。

 また米国はリベリアの医療従事者らを支援するため兵士3000人を派遣する他、米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)の専門家らを動員してウイルス対策の助言を行うことになっている。

 同センターでは、国際社会が対策強化を表明する以前のデータに基づく最悪の筋書きが現実のものとなった場合、来年1月までにリベリアとシエラレオネでの患者が140万人まで急増する恐れがあると警告している。(c)AFP/Carole LANDRY