【9月24日 AFP】ベルギーの中世の街並が残る古都ブリュージュ(Bruges)の美しい運河沿いを、けたたましい音をたてて走る運送トラックに嫌気がさした当局は、500年続く醸造所と近くの瓶詰め工場をつなげる「ビールのパイプライン」を建設することを決めた。

 全長3キロの地下パイプラインは、「北のベネチア(Venice)」とも言われるブリュージュの中心街にあるドゥハルブマーン醸造所(De Halve Maan Brewery)と、ビールの瓶詰めと世界への出荷が行われる工業団地とを結ぶ。

 醸造所の責任者、ザビエル・ヴァネスタ(Xavier Vanneste)氏は22日、AFPの取材に「このアイデアは経済的な理由ではなく、環境や生活の質への配慮から生まれた」と語った。

 パイプラインの全計画が承認され建設が完了すれば、街の石畳の小道を走るトラックを年間500台削減することができる。これは市内を走る貨物車両の約85%にあたる。

 ドゥハルブマーン醸造所でのビール製造は500年近くにわたり、毎年10万人の観光客が訪れる。国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage Site)に登録された「ブリュージュ歴史地区」の主要な観光先となっている。

 地元当局者は、瓶詰め作業は2010年に移設されたものの「ビールの醸造は歴史地区で続けたいと考えてきた」と語る。

 歴史的景観を損なわないようにするため、パイプラインは石油やガスの輸送に使われている最新の技術を用いて建設される。どのくらいの費用になるかはまだ分かっていないが、費用はドゥハルブマーン醸造所が全額負担することになる。来年着工の予定だ。(c)AFP