【9月24日 AFP】米ニューヨーク(New York)の国連(UN)本部で開催されている国連気候変動サミットで23日、世界各国の指導者らは気候変動問題に取り組むための野心的な行動を呼び掛けた。しかし、来年予定されている地球温暖化の防止のための「新しい国際枠組み」の合意まで1年と迫った中で各国が表明した方針は、さまざまな目標に程遠い内容にとどまった。

 今回のサミットでフランスは「グリーン気候基金(Green Climate FundGCF)」に10億ドル(約1087億円)を拠出する方針を明らかにした。GCFは、気候変動の影響を最も強く受ける開発途上国の温暖化対策を支援するための基金。しかし、今回のサミットで同基金への資金拠出を明らかにしたのは同国とドイツのみだった。

 国連の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、GCFに対して拠出が表明された資金はこれまでに23億ドル(約2500億円)に上っているが、今年末までの目標とされていた100億ドル(1兆870億円)には遠く及ばないと訴えた。2020年以降は先進国が年間計1000億ドル(10兆8700億円)を拠出することで合意されているが、その実現も危ぶまれる状況だ。

■米中も危機感を共有

 登壇したバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は「増大する喫緊の脅威である気候変動」は、最終的に「他のどの問題よりも劇的に、今世紀という時代の輪郭を決定付けるだろう」と述べた。

 オバマ大統領は、サミットに出席している中国の張高麗(Zhang Gaoli)副首相と事前に会談し「2大経済大国である米中には、気候変動問題で主導的役割を果たす特別な責任がある」と伝えたことを明かした。これに対し張副首相は、米国を上回り世界最多となった中国の二酸化炭素(CO2)排出量の削減をできる限り早期に実現したいと応じた。

 さらに中国国家発展改革委員会(発改委)の解振華(Xie Zhenhua)副主任は報道陣に対し、中国はCO2排出原単位の削減を順調に進めていると述べ、来年初めにも、排出量のピークから減少に転じる時期について予測を示したいと語った。

 一方、大きな約束を表明したのは今回のサミットの開催地、ニューヨーク市のビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長で、2050年までに同市のCO2排出量を80%削減する方針を掲げた。この野心的な数字について、環境活動家からは、国家レベルでこのような目標が掲げられるべきだとの声が上がった。

 同日、環境活動家としても知られる米俳優のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)さんもサミットでの演説に臨んだ。ディカプリオさんは各国の指導者に対し、気候変動を架空の問題であるかのように扱うのは止めるべきだと訴え「俳優として私は役柄を演じており、その架空の人物たちはよく架空の問題を解決する。人類は同じように、つまり気候変動があたかも架空の出来事であるかのように見てきたのだと思う」と語った。(c)AFP/Carole LANDRY, Shaun TANDON