【9月21日 AFP】中国女子テニス界のパイオニアで、現役引退を表明していた李娜(Na Li、リー・ナ、中国)が21日、引退会見に臨み、古傷の膝の故障による引退という決断に「後悔はない」としたものの、決心するまでとても悩みぬいたことを明かした。

 2度の四大大会(グランドスラム)制覇を誇る李はこの日、19日にソーシャルメディアで衝撃の引退発表を行って以降、初めて公の場に姿をみせた。

 32歳の李は、中国オープン(China Open 2014)の会場となる国家網球中心(National Tennis Centre)で会見を開き、「自分のテニス選手としてのキャリアにとても満足しています」と話した。

「今が引退する最良の時だと感じています。残念に思ったり、後悔したりする気持ちは一切ありません。決断した時、自問したんです。『引退して、後悔しない?』って」

「私の心は、後悔しないと答えました。ここまで全力を尽くしてきたからです」

 李が現役に別れを告げるとあって、会場には200人近い記者が集まり、会見では本人と記者の双方が感極まる場面もあった。

 ある記者は、手を挙げて質問をしたが、その途中でいきなり口をつぐむと、涙をあふれさせた。

 すると李は、泣き崩れるのをこらえながら機転を利かせ、「はい、どうぞ」と自分の席に置いてあったティッシュを渡した。

 李の引退発表は、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2014)でトロフィーを掲げてから、わずか7か月後の出来事だった。全豪制覇は、歴史的快挙だった2011年の全仏オープンテニス(French Open 2011)優勝に続く、彼女のキャリアのハイライトだった。

 李は19日、フェイスブック(Facebook)と中国のソーシャルメディアにメッセージを投稿し、「膝に4度メスを入れ、毎週の注射を何百本も打って腫れと痛みを和らげようとしてきた末、体がもう酷使するのはやめてくれと訴えてきました」と明かしていた。

 そしてこの日、李はシングルス通算9勝を挙げ、中国でテニスを一般に認知させたキャリアに幕を下ろしたが、本人は相変わらず、自分は「大したことはしていない」と主張した。

「私はみなさんに伝えたい。皆さんにもそれぞれ夢があるでしょうから、その夢を追い続けてください」

(c)AFP