【9月28日 Relaxnews】スペイン文化省は、世界でも貴重な先史時代の壁画を保存するため12年間非公開としていたアルタミラ洞窟(Altamira Cave)について、少人数を対象とした試験公開を継続すると発表した。

 スペイン北部カンタブリア(Cantabria)自治州サンティリャーナデルマル(Santillana del Mar)で1868年に発見されたアルタミラ洞窟は、約1万4000年前に描かれたとされる赤い野牛の壁画で有名。他にもウマ、シカ、動物の頭を持つ人間、神秘的な意匠などが赤色や黄色の顔料で描かれている。

 これらの壁画は、「人類の創造的才能を表現する傑作」「人類最古の熟練した芸術」として1985年、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産に登録された。

 しかし、見学者が洞窟内に持ち込む湿気や微細菌によって壁画が損傷する恐れがあるとして、2002年以降、洞窟の一般公開は中止されている。

 スペイン文化省によると、今年2月に専門家チームが小グループでの試験的な見学ツアーを実施し、見学者の息や持ち込まれる微細菌が壁画に及ぼす影響を調査。「研究者や見学者が訪れたことと、顔料の消失に因果関係はない」ことが分かったため、試験公開の延長を決定したという。

 専門家チームでは来年2月まで週1回、参加者5人限定の見学ツアーを継続し、1年間で壁画にどのような影響が出たかを検証する予定だ。(c)Relaxnews/AFPBB News