【9月18日 AFP】税金が高いと不満を抱いたフランス人の女性が、抗議の意思を示すために30キロ相当の硬貨で所得税を納めた。

「オードリー・D.」とのみ名前が公表されているこの女性(28)は、2013年の収入から算出された所得税額1107ユーロ (約15万5000円)の納税通知を受け取った。オードリーさんは、昨年は平均月収1400ユーロ(約19万6000円)だったが、現在は無職。AFPに対し「期限内に税金を納めるためには、車を売らなければならなかった」と話した。

 フランスでは毎年一度、9月に前年の収入に対して課される所得税が通知される。オードリーさんは当初「一度に納める方が痛みが少ない」と思い、税務署で一括納税するつもりだった。

 しかし、署員から現金で納められるのは1日300ユーロ(約4万2000円)までだと言われたため、税務署を3回訪れて300ユーロずつ納め、残額の207ユーロ(約2万9000円)のところで抗議の意思を示そうと思った。

 円筒状に包装された1セント、2セント、5セント硬貨と、ピンクのブタの貯金箱を手に税務署に到着したオードリーさんは、受付カウンターに貯金箱を打ち付けて壊し、中にあった硬貨を差し出した。職員の態度は最初冷たかったが、硬貨を数えるうちに面白がるようになるまで打ち解けた。

 オードリーさんは「税金を納めること自体に全く不満はない。でも、税額が高すぎる。私たちは国のための金のなる木ではない」と不満を訴えた。

 この問題にすっかり熱中したオードリーさんは、フランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領と ミシェル・サパン(Michel Sapin)経済・財政相に公開書簡を送った。書簡には「増税と、私たちを愚か者扱いしている政府に抗議します。私はフランス人だから、しつこく文句を言うのが好きなだけです」としたためられていた。(c)AFP