【9月17日 AFP】国連(UN)は16日、世界の飢餓人口が過去10年間で1億人減少したとする報告書を発表した。現在、世界の9人に1人が栄養不良の状態にあり、その多くはアジア地域の人々だという。

 国連の食糧農業機関(UN Food and Agriculture OrganizationFAO)、国際農業開発基金(International Fund for Agricultural DevelopmentIFAD)、世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)がまとめた年次報告書によると、1990年代初頭以降、世界の飢餓人口は2億人以上の減少を示しているという。しかし状況の改善にもかかわらず「世界では約8億500万人、9人に1人がいまだ飢餓に苦しんでいる」として警鐘を鳴らした。

 飢餓との闘いは、中東やアフリカで起きている紛争や、危機的状況にあるエボラ出血熱の流行によってさらに困難な状況に直面している。

State of Food Insecurity in the World(世界食料不安の現状)」と題された同報告書によると、「2015年までに世界の飢餓人口を半減する」との国連ミレニアム開発目標(UN Millennium Development Goal)は「適切で緊急な取り組みが強化される場合には」実現可能な範囲にあるという。

 食糧関連の国連3機関は、今日までに発展途上国63か国がこの目標に到達しており、さらに6か国が2015年までに目標に到達する見込みと説明した。

 同3機関は、共同声明の中で「これは、われわれが飢餓との闘いに勝つことができる証拠である。また当該国にとっては、国際社会からの必要な助力を受けて前進するための発奮材料になるはずだ」と述べている。

 全般的には著しい進展をみせている状況ではあるが、サハラ以南のアフリカ地域では、4人に1人以上が慢性的な栄養不足状態にあり、またアジア全体の飢餓人口は約5億2600万人に上るという。

 国連は、飢餓の根絶が「貧困の削減および世界の平和と安定に大きく寄与する」と指摘。持続可能な「家族農業」に投資するよう世界各国の指導者らに呼び掛けた。また飢餓との闘いのカギとなる方策として、農家と市場との関係性(直接的なつながり)の改善、食料(特に収穫後)の廃棄量の削減、所得の向上などを挙げている。(c)AFP/Laure BRUMONT