【9月13日 AFP】世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は12日、西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱の死者が2400人を超えたと発表した。

 スイス・ジュネーブ(Geneva)で記者会見したWHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は、大きな被害が出ているギニア、リベリア、シエラレオネの3か国では「死者数が対応能力を上回る勢いで増加している」と指摘し、エボラウイルスの広がりに対して国際社会は対応の強化と迅速化が求められていると述べた。

 WHOによると、12日現在でエボラウイルスの感染者は4784人、うち2400人以上が死亡した。この数字にナイジェリアでの発症21 人、死亡8人が含まれているかどうかは記者会見では明らかにされなかった。

 セネガル国内でもギニア人学生1人がエボラ熱にかかったが、すでに回復している。セネガルでそれ以外の発症者が出ていないことを歓迎しつつもWHOは、今後もセネガルがエボラ流行の「高リスク」国であることに変わりはないとして注意を呼びかけた。

■回復した人の血漿輸血で抗体増加

 エボラ出血熱の治療法は確立されていないが、WHOは患者の抗体を増やす上でエボラ出血熱から回復した人の血液の患者への輸血が有益な可能性があるとの見解を明らかにした。病院関係者は12日、リベリアでエボラウイルスに感染し、現在は米ネブラスカ(Nebraska)州で治療を受けている米国人医師のリック・サクラ(Rick Sacra)氏(51)は、ある実験薬を投与されるとともに、エボラ出血熱から回復した別の米国人医師ケント・ブラントリー(Kent Brantly)氏の血漿(けっしょう)を輸血されていることを明らかにした。深刻な状態だったサクラ氏の容体は快方に向かっているという。

■キューバが最大の医療団を派遣

 一方、キューバのロベルト・モラレス・オヘダ(Roberto Morales Ojeda)保健相はジュネーブでの記者会見で、エボラ熱で500人を超える死者が出ているシエラレオネに医師62人、看護師103人を派遣すると発表した。キューバの医療チームは西アフリカに6か月間留まるという。

 参加者全員が「これまでに各種の惨事の対処に参加した経験があり」、全員が派遣に志願したという。キューバには世界的に評価が高い医療従事者を世界各地の被災地などに派遣する伝統があり、今回のエボラ流行で外国から派遣される医療チームとしては最大になる。

 実験的な治療を通じていずれはエボラ出血熱の治療法が確立されるのではないかとの希望が出ているが、WHOのチャン事務局長は、「今われわれが一番必要としているのは(現場の)要員なのです」と強調して、キューバ政府の発表を歓迎した。

 WHOは、西アフリカ全体でのエボラ禍の拡大を阻止するには、さらに外国人保健衛生専門家500人と現地の医師と看護師1000人が必要だと推定している。(c)AFP/Nina LARSON