【9月12日 AFP】肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex、T・レックス)より大きく、サメとともに泳ぎ、それらを捕食していた恐竜がかつて存在していた──? 史上最大の肉食恐竜として知られる「スピノサウルス・エジプティアクス(Spinosaurus aegyptiacus)」が、陸上生活と水中生活の両方に適応していたことを示す最初の証拠を提示した研究論文が、11日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 9500万年前に生息していた、カモとワニを掛け合わせたような姿のこの巨大生物は、川の水をかきわけて進み、古代のサメ、ノコギリエイ、ハイギョなどを捕食していたと想像される。

 スピノサウルスは推定体重20トンで、背中に船の「帆」に似た大きな突起物があり、背骨で支えられたその高さは平均的な人間の身長ほどもある。

 パドル状の足や長い尾、幅の狭い腰部などは、体長15メートルのスピノサウルスが水中を容易に移動する助けになっていた可能性が高いという。

 また骨密度が高いことが、水中で浮力を制御する助けになっており、長く突き出た鼻先の上部に鼻孔が位置していることにより、体の一部が水面下にある間も呼吸をしやすかったとされる。

 論文の主執筆者で、米シカゴ大学(University of Chicago)の古生物学者、ニザール・イブラヒム(Nizar Ibrahim)氏は「これらの特徴を総合すると、スピノサウルスはかなり長い時間を水中で過ごしていた最初の恐竜であることが強く示唆される」と話している。