【9月10日 AFP】元「ファーストレディー」による回顧録で私生活が暴露され、「振られた女の怨念は、地獄よりも恐ろしい」という英国のことわざの意味を身をもって学んだフランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領に力強い味方が現れた──かつて同大統領と25年間にわたるパートナー関係を持ち、その間に4人の子どもをもうけた現エコロジー・持続的開発・エネルギー相のセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏だ。

 元「ファーストレディー」のバレリー・トリルベレール(Valerie Trierweiler)さんの回顧録「Merci pour ce moment」は今月4日に発売された。インターネット小売り大手アマゾン・ドットコムによる国内ベストセラーランキングの1位を飾り、全国各地の書店では売り切れが相次いだ。しかしトリルベレールさんとオランド大統領双方に対する一般からの評判は、この本の発売を境に下降線をたどる一方だという。

 発売日の午前、ロワイヤル氏はテレビ番組に出演し、オランド大統領が貧しい人たちを嫌っていたという回顧録の内容についてコメントした。

「ばかげている。左派の素晴らしいリーダーの政治的発言とは正反対の内容ね」と述べ、「本当の話だと思ってるの?」と逆にインタビュアー質問をぶつけた。

「長年知っている政治家よ。本当にそんなことがあると思うの?政治家は行動で判断しないと」

 一方で、英ウェールズ(Wales)で開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席していたオランド大統領自身も自らの弁護に努め、「生涯を通して取り組んできたことに疑念を投げ掛けるようなまねは認めない」と話すとともに、大統領府に対しては敬意を払うよう求めた。

■対立感情

 ロワイヤル氏とトリルベレールさんの間には、明らかな対立感情がある。

 オランド大統領は、まだロワイヤル氏とパートナーだった2005年に、トリルベレールさんと関係を持ち始めた。

 回顧録の中でトリルベレールさんは、レストランでオランド大統領と食事中にロワイヤル氏が突然現れ、罵声を浴びせられたことがあると記している。

「彼女は冷徹で、私たち(ロワイヤル氏とオランド大統領)の関係をかき乱さないようにと言ったわ。フランソワは完全に何も言えないようだったから、『私たちはツール・ド・フランス(Tour de France)について話しているのよ』と答えたら、セゴレーヌは『私にでたらめ言うのはやめなさい』と語気を強めていたわ」

(c)AFP/Indalecio ALVAREZ