【9月9日 AFP】8月のフランス内閣改造で教育相に任命されたモロッコ生まれの女性閣僚、ナジャット・バローベルカセム(Najat Vallaud-Belkacem)氏に対し、極右メディアの紙面やインターネット上で攻撃が相次いで起きており、フランスにおける人種差別について新たな懸念が生じている。

 バローベルカセム教育相は、支持率が低迷するフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領の政権の中で最も輝いている政治家の1人。テレビ映えする36歳のバローベルカセム氏は先月、仏史上初めて女性として教育相に任命された。しかし、これが明らかになると、極右勢力から不満の嵐が巻き起こった。

 極右系週刊誌ミニュット(Minute)は「モロッコ系イスラム教徒」の任命は「挑発だ」と記し、別の右派系週刊誌バルール・アクチュエル(Valeurs Actuelles)は、バローベルカセム氏を教育省の新たな「アヤトラ」、イスラム教シーア派(Shitte)の指導者、と呼んだ。

 また前週末にはマイクロブログのツイッター(Twitter)上に教育省からの発信を装い、学校で1時間のアラビア語の授業を導入するよう各自治体に奨励する偽のツイートが流れた。教育省はこのなりすましに対し法的措置を取る構えだが、バローベルカセム氏に近い筋によれば、教育相本人はこうした攻撃を受け流しているという。

 側近によれば、バローベルカセム教育相はこれまでに何年もソーシャルネットワーク上で攻撃の対象となってきたが、重要閣僚に任命されたことによって、攻撃の「規模が一変した」という。一方「激しい攻撃によって世論の変化」も起きており、バローベルカセム氏の下には支持の声も大量に届いているという。

 支持率13%の「上司」オランド大統領にとって、バローベルカセム教育相の現在の支持率51%は夢のような数字だ。(c)AFP/Charlotte PLANTIVE