【9月9日 AFP】英国からのスコットランド(Scotland)独立の是非を問う歴史的な住民投票を9日後に控え、北海(North Sea)油田の採掘産業の拠点となっている北東部の港湾都市アバディーン(Aberdeen)では独立反対派が路上に繰り出し支持を獲得するための活動を展開している。現状は、独立賛成派が追い上げており、反対派とほぼ同率で拮抗(きっこう)している。

 独立是非の論争の中心は石油だが、好況アバディーンはその石油産業から恩恵を受けてきた。

 アバディーンの街角に、その恩恵を英国内に留めるべきと主張する独立反対派の一団が、スローガン「ノー・サンクス(独立はごめん)」の文字が書かれたリュックサックやバッジを身に着け集合していた。

 リーダーのロブ・ウォーカー(Rob Walker)さんからパンフレットを受け取ると、メンバーはそれぞれが分担する地域へ向かっていった。

「反対派が勝つとは思うが、まだ不安だ」とメンバーの一人、ウィリー・プリムローズ(Willy Primrose)さん(62)は言う。「私自身は根っからのスコットランド人だと感じている。だが私は連合王国の中でのスコットランド人でありたいんだ。小さな国の国民ではなくてね」

 メンバーたちは戸別訪問を続けているが、スコットランドの旗を掲げて独立賛成の意志を示している家ではノックはせず、ドアの下からパンフレットを滑り込ませている。

 しかし時として訪れた家が独立賛成派とみられ、郵便受けから差し入れたパンフレットを押し返されたりするなど冷たい対応を受けることもある。

 1970年代の初め以降、これまでに北海で生産された原油・ガスは420億バレルに上る。独立派のアレックス・サモンド(Alex Salmond)スコットランド行政府首相はこうした原油・ガス関連の利益が独立後のスコットランド経済を押し上げるとみている。

 経済アナリストの多くは、数年内にスコットランドの原油生産量は減少するとの見方で一致している。だが最も楽観的な予測では、今後の5事業年度の原油収入を387億ポンド(約6兆6000億円)としている。英国政府の収入予測は176億ポンド(約3兆円)だ。

 だが別の独立賛成派の男性によれば、スコットランドの強みは原油だけではない。男性は「ほかにも使える物はたくさんある。牛肉やウイスキーとかね。スコットランドは豊かで人口は多くない。みんなが本気になれば、ちゃんとやっていける」と語った。(c)AFP/Edouard GUIHAIRE