■科学的検証を求める声も

 コスミンスキは1865年9月11日、ポーランド中部クウォダバ(Klodawa)に生まれ、1880年代初頭に帝政ロシアのユダヤ人迫害(ポグロム)を逃れ一家でロンドン東部に移住した。自宅は「切り裂きジャック」の犯行現場のすぐ近くで、事件後には被害者の一人と一緒にいたとの目撃証言を受けて警察に逮捕されたが、目撃者が有罪を示す証拠の提出を拒んだため釈放されていた。

 ただ、エドワーズ氏の「発見」に疑問を呈する声もある。同氏の研究は査読が要求される科学専門誌に発表されておらず、主張の検証も、分析方法の精査もされていない。

 30年前に「DNA指紋法」と呼ばれる鑑定方法を生み出したアレック・ジェフリーズ(Alec Jeffreys)教授は、英紙インディペンデント(Independent)に「興味深いが、査読が必要な主張だ。ショールの由来、主張されているDNA合致の特性、識別の能力、いずれも精査の余地がある。現段階では、何の証拠も提示されてはいない」と述べている。(c)AFP/Robin MILLARD