【9月8日 AFP】木星の衛星で、氷に覆われているエウロパ(Europa)には、地球の地殻を形成しているプレートに似た活動的な構造プレートが存在するかもしれないとの研究論文が、7日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された。これまでは、活発なプレート運動が存在するのは太陽系内で地球だけだと考えられていた。

 研究チームは、木星とその衛星の周りを周回している米航空宇宙局(NASA)の木星探査機ガリレオ(Galileo)が1995年から2003年にかけて撮影した画像を使い、エウロパの氷殻にみられる縦横に交差する隆起部や裂け目を詳しく調べた。

 地球を周回している月よりもわずかに小さいエウロパの表面については、その形成時期が太陽系内で最も新しいものの一つとされており、研究チームによると、これは「迅速な循環再生が起きている」ことを示唆しているという。

 この調査で研究チームは、エウロパ表面の2つの氷プレート間に、境界に沿って一部が消失していることを確認。一方のプレートがもう一方の下に沈み込んだものと思われ、表面物質がエウロパの内部で再生されている証拠だとしている。

 これは2つの地殻構造プレートの境界が重なり合う「沈み込み帯」で、地殻の一部が下部のマントルに沈み込む地球での現象に似ている。

 研究チームは今回、ガリレオの画像を用いて地質特性を再現し、13万4000平方キロの面積に及ぶエウロパの表面を調査。その結果、面積2万平方キロメートルに相当する表面の一部が消失していることを発見した。

「エウロパの氷殻には、もろくて可動性がある板状構造の氷プレート系がより温度が高く、対流している氷の上に存在するとの説をわれわれは提唱する」と研究チームは論文に記している。

「エウロパは地球以外にプレート・テクトニクス的な機構を示す唯一の太陽系天体かもしれない」

 木星は太陽から5番目に位置する、太陽系最大の惑星。エウロパはその四大衛星の一つ。(c)AFP