【9月8日 AFP】最新のエボラ出血熱ワクチンにウイルスを一時的に抑える効果があることがサルを用いた実験で確認され、追加免疫の接種で予防効果を持続させることができたとの研究論文が、7日の英医学誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」に掲載された。これは、人間への臨床試験の承認を後押しする結果だという。

 米国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious DiseasesNIAID)のナンシー・サリバン(Nancy Sullivan)氏率いる研究チームが発表した論文によると、チンパンジーに影響を及ぼす風邪ウイルスを基に作製したワクチンをマカク属のサルに1回接種したところ、致死性のエボラウイルスを「短期間では完全に、長期間では部分的に抑える」効果がみられたという。

 さらに、追加免疫の接種を行ったサルには「持続的な」免疫がみられた。

 NIAIDは8月28日、サルでの有望な実験結果を受け、人間での臨床試験を9月初旬に開始すると発表していた。この初期臨床試験については年末までに結果が出る見込み。

 承認されれば「このワクチンは、深刻なリスクにさらされている流行地域の人々や、職務上感染の危険がある人々に恩恵をもたらす」と論文の執筆者らは述べている。

 ザイール(Zaire)株のエボラウイルスに対してワクチンが「持続的な予防効果」を持つことを実証したのは今回が初めてだと研究チームは主張している。西アフリカで多数の死者を出しているこのウイルスには、現時点で承認されたワクチンや治療薬は存在しない。

 研究チームは今回、「ChAd3」と呼ばれるチンパンジー・ウイルスの1種を基にしてワクチンを開発した。

 ChAd3ウイルスは、エボラウィルスのDNAの断片をヒト細胞内に導入するためのベクターとして用いられる。ChAd3の遺伝物質に伝染性はなく、ワクチン接種者の細胞を活性化してエボラウィルスを認識させ、それに対する免疫反応を誘導する。