【9月6日 AFP】ウクライナと親ロシア派武装勢力が5日、停戦に調印し、約5か月に及ぶ流血の紛争が終わる可能性が生まれた。だが、親ロシア派勢力によるウクライナ東部の分離独立を求める動きは抑えられそうにない。

 欧米諸国は停戦に懐疑的で、ロシアがウクライナに侵攻したのは明白だとして、新たな厳しい制裁をロシアに科す計画を継続している。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、欧州連合(EU)と米国による新たな対露制裁はロシアの国防、エネルギー、金融部門を狙ったもので停戦の「遂行」を保証するために必要だと指摘した一方、停戦が維持されるなら制裁の解除もあり得ると述べた。

 北大西洋条約機構(NATO)は5日、英ウェールズ(Wales)のニューポート(Newport)で開いた首脳会議で、数千人規模の新たな即応部隊の創設を承認。NATOは東欧で継続的に存在感を示すことでウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領を恐れる旧ソ連構成国を安心させようとしている。

 欧州安保協力機構(OSCE)が概要を示した停戦条件によると、ウクライナと親ロシア派は部隊の撤収、捕虜の交換、ウクライナ東部の戦禍を被った地域に人道的支援を送ることに合意した。

 ウクライナのペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領は「この停戦の長期継続は今からはわれわれ双方の責任だ」と述べたが、停戦合意はウクライナの中心的な工業地帯の実質的な支配を親ロシア派に認める可能性もはらんでおり、ウクライナ政府はプーチン氏に降伏したとしてポロシェンコ大統領が批判される恐れもある。(c)AFP/Tatiana Kalinovskaya and Tanya Willmer