【9月5日 AFP】かつて男性に独占されていた米コメディー界で女性コメディアンの草分けとして活躍したジョーン・リバーズ(Joan Rivers)さんが4日、米ニューヨーク(New York)の病院で死去した。81歳。

 リバーズさんは先月28日からマウントシナイ病院(Mount Sinai Hospital)に入院していた。入院の理由は、ニューヨーク市内の私立診療所で声帯の治療を受けている最中に呼吸が止まったことと伝えられている。

 娘のメリッサ(Melissa Rivers)さんは「母が亡くなったことを大きな悲しみとともにお伝えします。母は家族と親しい友人たちに囲まれ、午後1時17分に安らかに永眠しました」と発表した。

 リバーズさんの訃報に、ウーピー・ゴールドバーグ(Whoopi Goldberg)さんやキャシー・グリフィン(Kathy Griffin)さんといったより若い世代の女性コメディアンらは次々と追悼の言葉を発表。

 米紙ニューヨークタイムズ(New York Times)は「駆け出し時代のはつらつとした自虐的な芸人から、有名人などを鋭いウィットで切り裂く荒々しい暗殺者に進化を遂げ、批評家たちからはコメディーの天才とも呼ばれていた」と書いた。

 故ルシル・ボール(Lucille Ball)さん、フィリス・ディラー(Phyllis Diller)さん、キャロル・バーネット(Carol Burnett)さんといった、米国の女性コメディアンの草分け的世代の中で、リバーズさんは最も短気で毒舌なコメディアンだった。標的となった相手に言葉の飛び蹴りを加える前に口にする「Can we talk?(話してもいいかしら?)」は、リバーズさんのキャッチフレーズだった。

 1965年に人気トークショー「トゥナイト・ショー(Tonight Show)」で一躍人気を博したリバーズさんは、ここ数十年は美容整形手術を繰り返していたことでも知られていた。

 リバーズさんは自身のコメディーには立入り禁止区域などないと言い続け、1987年の夫の自殺さえその対象になった。「翌日にはもう、親しい友人たちとひどいブラックユーモアを始めていたわ」「そうやって生き抜いてきたのよ。神は私たちに、ユーモアという贈り物を与えてくれたの」「動物は、笑わないでしょ」と米誌ニューヨークマガジン(New York Magazine)とのインタビューで語っている。(c)AFP/Jennie MATTHEW