成長への道を模索する企業が医療分野に着目する背景には、日本で急速に進む高齢化があると指摘するのは慶応義塾大学ビジネス・スクール(Keio Business School)の中村洋(Hiroshi Nakamura)教授だ。

 中村教授は「日本の製薬産業は、今後、国内市場の拡大が見込まれる数少ない産業の一つ」と指摘。技術力や法規定といった業界への参入障壁は、精密な研究に慣れている電機メーカーにとっては有利に働くことが多く、独自製品の多くが苦戦を強いられていることからの危機感もこれに加わるという。

「富士フイルムは、製薬業界への参入を何とか果たすことができた企業の一つだ。カメラ事業で培ってきた技術や、経営危機に対する強い自覚のほか、大手製薬会社との差別化を図るという明確な方針などが功を奏した」(中村教授)

 医療業界への参入は、電機メーカーにとどまらない。ビール大手キリンホールディングス(Kirin Holdings)も、傘下企業が、がんや肝臓病、高血圧などの治療薬を製造する。また、医薬総合研究所を持つ日本たばこ産業(Japan TobaccoJT)は、独自の抗HIV薬や、皮膚がんの一種であるメラノーマの治療薬を米国などで販売している。(c)AFP/ Katie FORSTER