高まる薬剤耐性菌リスク、インドの抗生物質多用が世界の問題に
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■スーパー耐性菌の温床にも
抗生剤の乱用は、薬物耐性のある「スーパーバグ(超強力細菌)」を生む温床となりつつあり、貧困層が多く公衆衛生が不十分なインドに甚大な影響をもたらしていると専門家は指摘する。
2010年、ニューデリーで、ほとんどの抗生物質が効かない新型スーパー耐性菌「NDM-1(ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ、New Delhi metallo-beta-lactamase 1)」が発見された際は、世界中がパニックに陥った。
一方、インドには世界の結核患者860万人の25%が暮らしており、2種類以上の抗生物質に耐性のある「多剤耐性結核」の症例も増えている。
インド政府は昨年、46種類の強力な抗生物質について、処方箋なしの販売を禁止した。この中には結核治療に使われる抗生剤も含まれている。この新政策の下では、抗生物質の製造・販売をチェックし、処方箋の記録を付け、人々の理解を深めるための最善の方法を記したガイドラインが全ての医療関係者に配られる。
12月までには新政策の準備が整うとみられているが、導入には「さらに何年かかかるだろう」と新政策に関する政府パネルのメンバーの1人、プルバ・マトゥール(Purva Mathur)氏は言う。
国立インド医学研究評議会(Indian Council of Medical Research)のVM・カトク(VM Katoch)議長は、抗生物質の誤用リスクについて国民を広く教育することが急務だと指摘。「インド人は、深く考えることなく気軽に抗生物質を使いすぎている」と苦言を呈した。(c)AFP/Annie BANERJI