【8月27日 AFP】西アフリカで猛威をふるっているエボラ出血熱がコートジボワールにも拡大した、というデマが同国で広まり始めたのは1週間前。噂は深夜の電話で瞬く間に広まり、おびえた村人たちは一斉に「塩水」を飲み始めた。

 北部コトウバ(Kotouba)村の住民によると、デマの発端はある男性の「お告げ」で、その内容は「エボラウイルスがコートジボワールにも到達した。塩水を飲んだり、塩を体にすり込んだりすれば、病気にかからない」というものだった。

 隣国ギニアで3月に発生が確認されて以降、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリアで1500人近くの命を奪っているエボラ出血熱だが、コートジボワールでは公式には確認されていない。コトウバ村で農業を営むシアモウ・コベナンさんによれば「コトウバでは今のところ、エボラの問題はない」が、村人たちの間では代わりに、塩の使い過ぎによる下痢が広まっているという。

■タマネギ食べてエボラ予防?

 だが塩がエボラウイルスに効くというデマは、単に北部の辺境地にある村で一時的に広まったものではない。南部沿岸地域にある経済の中心都市アビジャン(Abidjan)の貧困地区でも、住民たちが同じ行動に走っていた。貿易商のエバリステ・クアッシさんは、「皆が塩水を飲んだり、タマネギを食べたりしてエボラを防ごうと言っている」と語り、集団ヒステリーが引き起こした「狂気」だと嘆いた。

 今月22日、コートジボワール政府は、407人が死亡したギニア、および624人が死亡したリベリアと接する陸路の国境を封鎖した。しかし実際には、もう何週間も国境は非公式に封鎖された状態だった。

 アビジャンでは、全身の出血が止まらず臓器が崩壊する恐ろしいエボラ出血熱に関する話題が飛び交っている。一方、メディアは、感染者や発熱している人との身体的接触を避けるといった予防方法を伝えている。

 コウモリが媒介とされるため、現地では一般的な野生動物の肉の食用が禁止されて以降、コートジボワールでは感染が確認された国へ向かう旅客機の運航が中止され、国内で予定されていたすべての国際スポーツ大会の開催も禁じられた。