【8月26日 AFP】米国心臓協会(American Heart AssociationAHA)は25日、同協会の学術誌「サーキュレーション(Circulation)」で、電子たばこに対する独自のガイドラインを発表し、未成年への販売を含め、従来のたばこと同様の規制が課されるべきと提言した。

 風味が加えられたニコチン入りの液体を熱して蒸気を発生させる機器の電子たばこだが、煙を排出しない点を除いては、その使用法を含めて従来のたばこと大差はない。近年ではこの機器の使用が若者の間で急速に広まっており、依存症に陥るリスクや健康に与える悪影響を懸念する声が多く聞かれるようになった。

 現在、電子たばこに対する規制はない。そのため、製造や販売方法に厳しい制約がある従来のたばことは異なり、若者に向けた販売や宣伝が自由に行われているのが現状だ。

 4月には、米食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)も電子たばこに関するガイドラインを発表しているが、未成年者への販売禁止を提言するにとどまり、電子たばこの宣伝やインターネットでの販売の規制にまでは踏み込まなかった。今回発表されたAHAのガイドラインはこのFDAの提言よりもさらに厳しい内容となっている。

 AHAの最高経営責任者(CEO)であるナンシー・ブラウン(Nancy Brown)氏は「最近の研究では、若者たちにとって、電子たばこが従来のたばこに手を出すきっかけとなっていることが指摘されており、社会における喫煙の存在感が増す恐れがある。このような憂慮すべき状況が進行する中、電子たばこに対する厳しい規制を設け、徹底的な調査・監視の必要があると考えている」と述べている。

 AHAのガイドラインは、電子たばこがニコチンを含む製品である以上、ニコチン含有製品に適用される法律が同様に適用されるべきであり、また若者に対する販売や宣伝を禁止し、健康への影響をさらに調査しなければならないとしている。

 保健当局によると、電子たばこは2007年に商品化されて以降、急激に売り上げを伸ばしている。また業界の推計では、電子たばこを試したことがある高校生は、2011年の4.7%から2012年の10%とほぼ倍増。市場は年間売り上げ20億ドル(約2080億円)超の規模に達しているという。(c)AFP