【8月24日 AFP】アイスランド当局は23日、同国最大規模の火山、バルダルブンガ(Bardarbunga)山が大規模な噴火を起こす恐れが高まったとして航空警戒レベルを最も高い「赤」に引き上げ、周辺空域の飛行を禁止した。ただ、国内の空港は今のところ、全て稼働している。

 アイスランド南東部にあるバルダルブンガ山が大規模な噴火を起こせば、2010年4月に同国のエイヤフィヨットル(Eyjafjoell)山が噴火して欧州全域が巨大な火山灰の雲に覆われ、空の交通が世界的に混乱した事態が繰り返される可能性がある。

 地元警察によると、バルダルブンガ山の北側にある観光地ではすでに約300人が避難した。警察署長はメディアに対し、「相当数の人たちが避難したが、まだ渓谷にいた人たちだけで、居住地域にいる人たちは含まれていない。避難した人の大半は外国人旅行者だ」と話した。

 関係当局は現在のところ、住民への避難勧告は出していない。しかし、火山の状況への注意を怠らないことや、常に携帯電話のスイッチを入れておくことを呼び掛けている。

 アイスランドでは1996年以来最大規模の地震が観測され、その後も地震活動が続いたことから、アイスランド気象庁(Icelandic Meteorological Office) が18日、航空警戒レベルを2番目に高い「オレンジ」に引き上げていた。

■洪水発生の恐れも

 警察によれば、バルダルブンガ山の周辺地域の氷層は厚さが150~400メートルある。地元当局は、噴火によって氷が解けて洪水が発生すれば、国内のインフラが深刻な被害を受ける可能性があると懸念している。

 バルダルブンガ山より小さいエイヤフィヨットル火山が噴火した4年前には、第2次世界大戦(World War II)以降で最大規模となる空域閉鎖が実施されたことから交通が大幅に混乱。旅行者800万人以上に影響が出た。(c)AFP/Haukur HOLM