【8月22日 AFP】米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー(James Foley)氏を処刑したイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が、同氏の解放と引き換えに1億ユーロ(約138億円)の身代金を要求し、処刑の1週間前には家族に同氏を殺害すると脅す内容の電子メールを送付していたことが分かった。同氏の雇用主だったニュースサイト「グローバルポスト(GlobalPost)」が21日、明らかにした。

 グローバルポストの広報担当者はAFPに対し、「グローバルポストのフィリップ・バルボーニ(Philip Balboni)最高経営責任者(CEO)は、フォーリー氏の誘拐犯から1億ユーロの要求があったことを認めている」と述べた。

 さらにグローバルポストは、ISが送付した電子メールの全内容を自社サイト上で公開。「この文章からは、イスラム国の動機と戦略に関する見識を得ることができる」と述べている。

 電子メールの中でISは、「他国の政府」は人質解放のために「現金取引」を受け入れていると主張。また、米軍兵士らの殺人未遂罪で禁錮86年を言い渡された科学者アーフィア・シディキ(Aafia Siddiqui)受刑者とフォーリー氏の捕虜交換を提案したと述べている。

 バルボーニ氏は電子メール公開に先立ち、IS側がグローバルポストとフォーリー氏の家族に対し数回にわたり接触していたことを明らかにしている。ただ、IS側は身代金の額についての交渉には一切応じなかったという。米政府は、身代金の支払いはさらなる拉致を誘発するとして反対の立場をとっている。

 バルボーニ氏は、フォーリー氏の家族とともに同氏の行方の手がかりや、ISとの連絡先といった情報は全て米連邦捜査局(FBI)と国務省に提供したと話している。だが、国務省のマリー・ハーフ(Marie Harf)副報道官は21日の記者会見で、米政府は「ISIL(ISの旧名称)と接触していない」と強調している。

 バルボーニ氏によると、身代金を要求するメッセージの後、ISとの連絡はしばらく途絶えていたが、8月13日になって、フォーリー氏の殺害を予告するメッセージが届いたという。

 米国防総省は20日、米軍の特殊部隊が今年シリアで米国人の人質らの救出作戦を実施したが、失敗に終わっていたことを明らかにしていた。(c)AFP