「米軍がイスラム国の包囲突破、空爆は継続」 米大統領
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【8月15日 AFP】イラクのシンジャル山(Mount Sinjar)をイスラム教スンニ(Sunni)派の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」が包囲し、数千人が孤立している問題について、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は14日、米軍がイスラム国の包囲を突破したと発表した。しかし過激派に対する空爆は継続する意向を示している。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は先に、イスラム国によって少数派のヤジディー(Yazidi)教徒を中心とした数万人の住民が同山に取り残されていると報告していた。
オバマ大統領は報道機関向けの声明で、「イスラム国によるシンジャル山の包囲を米軍が突破した」として、「同山から人々を避難させる追加作戦は実施しなくてよいと考えており、同山に向けた空からの支援物資投下も不要とみられる」という見方を示した。
米国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官は14日、シンジャル山には依然として4000~5000人のヤジディー教徒が残っているが、その中には必ずしも別の場所に移動しようとしていない人たちもいると述べていた。
一方で今月8日に開始した空爆についてオバマ大統領は、「イラク国内の米国人と米国施設を保護するため」継続すると述べた。米国は先に、イラクへの軍事介入の理由として、イラク北部アルビル(Arbil)の米総領事館が危険にさらされていることを挙げていた。
ヤジディー教徒の窮状を受け、国際社会から強い抗議の声が巻き起こり、欧米諸国は孤立していた人々への支援を表明。国連(UN)もイラク危機への対応を迅速化するため、緊急度を最も高いレベル3に引き上げると発表している。また、ヤジディー教徒やキリスト教徒などの少数派を迫害しているイスラム国と闘うクルド人勢力への支援を強化している国もある。
国連安全保障理事会(UN Security Council)は15日、資金と外国戦闘員の流入を阻止してイスラム国の弱体化を目指す決議を採決することになっている。(c)AFP/Serene Assir