【8月14日 AFP】米国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官は13日、イラク北部のシンジャル山(Mount Sinjar)で孤立している住民らの現状を米軍部隊が調査した結果、その数はこれまで考えられていたよりも少なく、状況も緊迫していないことが確認されたため、救出作戦を実施する可能性は「極めて低くなった」と発表した。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は先に、少数派のヤジディー教徒を中心とした数万人の住民が山中に取り残され、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に包囲されていると報告していた。

 カービー報道官の声明によると、米軍部隊による現地調査の結果、山中で孤立したヤジディー教徒らの数が当初考えられていたよりも「はるかに少なかった」ことが分かったという。その理由としては、支援物資の空中投下やISの戦闘員らを標的とした米軍による空爆の実施が挙げられている。またここ数日間に数千人規模の住民が毎夜、山を脱出することに成功したことも指摘している。

 またカービー報道官は、調査に向かった部隊が実際に山中に取り残された住民らを確認したものの、調査中に戦闘は一度も発生しなかったと強調した。(c)AFP