【8月11日 AFP】チリで2010年に発生した巨大地震の影響により、約4700キロメートル離れた南極で複数の小規模な「氷震」が発生していたとの研究論文が、10日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された。

 研究チームは、巨大地震発生直後~6時間後のあいだに観測された西南極(West Antarctica)での複数の小規模な揺れについて、遠方で発生する地震が西南極氷床に影響を与えていることを示す「証拠」とである述べた。

 小さな揺れは、広大な地域に点在する42か所の監視施設のうち12か所で観測された。高周波信号が急激に上がる「明白な証拠」で、表面近くの氷が粉砕する際の兆候とも一致していたという。

 チリのマウレ(Maule)地域沿岸の沖合で2010年2月27日に発生したマグニチュード(M)8.8の地震は、過去最大規模の地震の1つとされている。

 最もはっきりした揺れは、西南極のエルスワース山脈(Ellsworth Mountains)に設置された監視施設で観測され、地震を示す明らかな特徴が記録されていた。しかし、他の一部監視施設で観測された信号は不明瞭、もしくは何も起きていないことを示すものだったという。

 米ジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)にあるジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)のジガン・ペン(Zhigang Peng)氏は、揺れは氷床そのもののずれから発生したもので、その下の岩盤の断層から生じたものではないと推測するのが最も賢明だろうと述べる。

 ペン氏はAFPとの電子メールのやり取りの中で、「100%確実ではないが、信号は、地表に極めて近い氷床内で起きた氷の亀裂から生じたものとわれわれは考えている。その主な理由は、もし氷床下の断層と関係したものならば、地震活動の活発な他の地域の観測結果ともっと近くなるはず」と指摘した。

 論文は、得られたデータを集約すると、広大な西南極氷床は、遠くで発生する大規模な地震に敏感に影響を受けるということになると結論付けた。ただより詳細な反応についてはさらなる研究が必要になるとした。また遠方で起きた地震によるクレバス(割れ目)の発生の有無や氷河の速度の変化といった氷床への影響なども不明のままだという。(c)AFP