【8月8日 AFP】現生人類が鳥肉を常食するよりもはるか昔から、ネアンデルタール人たちは野生のハトを捕らえ、食用処理し、調理していたとする研究が7日、英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された。

 論文によると、英海外領ジブラルタル(Gibraltar)の洞窟で発掘された6万7000~2万8000年前のカワラバトの骨1724個を精査した結果、切断された痕跡や人の歯形、焼いた痕などが見つかった。これはハトが食用処理され焼かれていたことを示唆する証拠だと研究チームは述べる。

 この洞窟には当時、ネアンデルタール人が暮らしており、後に現生人類が暮らすようになった。ネアンデルタール人らは現生人類と同じように骨を引っ張って解体し、柔らかい肉にかぶりついていたとみられる。

「(ネアンデルタール人は)われわれと好みが同じで、胸肉や下もも肉、手羽を食べた。彼らにはその知識と技術があった」と、論文執筆者でジブラルタル博物館(Gibraltar Museum)館長のクライブ・フィンレイソン(Clive Finlayson)氏は記者団に語った。

 これまではヒト科で初めて鳥肉を常食したのは現生人類だと考えられていた。だがこの洞窟で「ネアンデルタール人は4万年以上にわたってカワラバトを食料としていた。最古の痕跡は6万7000年以上前にさかのぼる」と論文は述べている。しかもハトの調理は洞窟内の「異なる広い場所で繰り返し行われていた痕跡」が見つかっており、散発的なものではなかったという。

 過去の研究で、ネアンデルタール人は肉だけでなく野菜やベリー類、ナッツ類なども食べていたことや、高齢者の介護をしていたこと、精巧な骨角器を使用していたことなどが分かっている。ネアンデルタール人は欧州、中央アジア、中東の一部に最長30万年間生息していた。だがその痕跡は3~4万年前を最後に見つかっていない。(c)AFP/Brian Reyes