大手IT企業がフィンランドにデータセンター、寒い気候が魅力
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■新たに敷設されるケーブルで優位性保つ
スウェーデンはフェイスブック(Facebook)が欧州地域で初めてデータセンターを置いた国であり、またアイスランドは欧州と米国の間に位置するという地理的な利点を売りにしている。
「北欧諸国には似たような利点がある。涼しい気候、政治的な安定、整備されたインフラだ」と、首都ヘルシンキ(Helsinki)にあるアールト大学(Aalto University)コンピューターサイエンス学科のKeijo Heljanko准教授は言う。
つまり、新たに敷設されるケーブルの存在がフィンランドに優位性を与えることになる。このケーブルで欧州圏の他国と直接つながることが可能となり、現在のようにスウェーデンやデンマークを経由する必要がなくなる。
経由地点が減ることで通信はより効率化され、さらにデータが傍受されるリスクも軽減される。「スウェーデンでは、国内のネットワークを通過するすべての情報を調査する権限が情報機関に与えられてる」と、ライターのヤルビネン氏は言う。「フィンランドでは、そんなことはない」
不況から抜け出せず、高齢化が進み、失業率も高まっているフィンランドにとって、新しい産業はきわめて重要だ。フィンランド政府はデータ企業の誘致を支援し、バルト海のケーブル敷設の総工費1億ユーロ(1億3600万ドル)の3分の1を負担することを約束している。
企業の誘致だけにとどまらず、ソフトウェア関連をはじめとする業種での雇用創出が最終的なゴールだという。
一方、同国のこうした「データ・ドリーム」に対する批判的な見方もある。データセンターを誘致しても、そこから生まれる雇用のほとんどが機器メンテナンスといったブルーカラーの仕事となる可能性があるからだ。
ヤルビネン氏は、「我々の安い電気料金を利用するだけで地域経済に何の恩恵ももたらさない…これは良いシナリオではない」と指摘している。(c)AFP/Pauline CURTET