【8月5日 AFP】(一部更新)中国当局が、スパイ容疑でカナダ人のキリスト教活動家夫婦を捜査していることが5日、中国国営新華社(Xinhua)通信の報道と夫婦の息子の話により分かった。中国政府は先週、カナダ政府から同国の研究機関を対象としたハッキングを支援しているとの非難を受けたばかり。

 新華社によると、ケビン・ギャラット(Kevin Garratt)さんとジュリア・ドーン・ギャラット(Julia Dawn Garratt)さん夫妻は「中国の軍および国防研究に関する国家機密を盗んだ容疑で取り調べを受けている」。

 息子のシメオン・ギャラット(Simeon Garratt)さん(27)がAFPに語ったところによると、夫妻は遼寧(Liaoning)省丹東(Dandong)市の北朝鮮国境近くで喫茶店「ピーターズ・コーヒーハウス(Peter's Coffee House)」を経営している。

 鴨緑江(Yalu River)と中朝を結ぶ中朝友誼橋(Sino-Korean Friendship Bridge)を見下ろす位置にあるこの喫茶店の写真には、ステンドグラスのような背景画の上に「T」の文字が十字架の形になった店名が描かれている様子が写されている。

 中国当局による「国家機密」の定義は非常に広範囲に及ぶ。新華社は盗まれたとする情報についても詳述していないが、捜査を行っているのは国家公安部で、丹東市の現地支部だとしている。同市周辺は、韓国を含む外国のキリスト教団体の関心が向けられている地域であり、こうした団体の一部は北朝鮮人の国外脱出を支援している。

 シメオンさんは、両親は貧しい北朝鮮の人々に向けた必需品支援に関わっていたが、中国当局の捜査対象となった理由については全く心当たりがないと話している。(c)AFP/Mark RALSTON