【8月5日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中、日本の駆逐艦と接触・大破したPT-109ボートに乗っていた未来の米大統領、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)氏の救助を手助けしたソロモン諸島の男性が2日、死去した。93歳だった。遺族が4日明らかにした。

 死去したのはエロニ・クマナ(Eroni Kumana)さん。息子のエソリさんによるとエロニさんは家族が見守るなかで息を引き取ったとされ、4日に故郷のロノンガ(Ronongga)島に埋葬された。

 1943年、接触事故で負傷したケネディ海軍中尉は、部下の乗組員らを引き連れてサンゴ環礁島にどうにかたどり着いた。その島で、カヌーに乗っていたエロニさんと仲間のブイク・ガサ(Buiku Gasa)さんと遭遇した。

 スミソニアン(Smithsonian)誌によると、ケネディ氏らが夜間パトロールのため乗っていたPT-109ボートは、日本の駆逐艦と接触し大破。仲間の船からは、サメが生息する海域に投げ出された乗組員13人全員が死亡したように見えたという。

 しかしそのうちの11人はまだ生きていた。夜が明けるとケネディ氏は数キロ先の島まで乗組員らを率いて泳いだ。自らも負傷していたが、重度の火傷を負った乗組員らを引っ張っていったとされている。そして島で出会ったエロニさんとガサさんに食料の確保を手伝ってもらい、救難のメッセージを刻んだココナツの殻を2人に託したという。

 後日救助されたケネディ氏は、このメッセージを刻んだココナツの殻を引き取り、プラスチックケースの中に入れてペーパーウエイトとして使った。戦後の政治家としてのキャリアの中で使われたこのペーパーウェイトは現在、ボストン(Boston)のケネディ博物館(Kennedy Museum)に展示されている。(c)AFP