【8月4日 AFP】イラクとシリアで活動するイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は3日、クルド人勢力の管轄下にあったイラク北部の都市シンジャル(Sinjar)を掌握した。同組織がここ2日間で掌握した都市は、北東部ズマル(Zumar)に続き2都市目。クルド人自治区当局者らが明らかにした。

 シンジャルには、イスラム国が約2か月前にイラク北部で攻勢を開始して以降、少数派の住民らが数千人規模で避難していた。イスラム国が同市を掌握したことにより、こうした人々の身の安全に対する懸念が高まっているとともに、イスラム国が6月に樹立を宣言したイスラム国家に含まれるシリア・イラク両地域の境界がさらにあいまいとなった。

 国連(UN)のニコライ・ムラデノフ(Nickolay Mladenov)・イラク特使は今回の事態を受け、「人道上の悲劇がシンジャルで広がりつつある」と懸念を表明。シンジャルが陥落したことで、数千世帯(国連発表によると最大20万人)が周辺の山岳地帯へ避難したとされる。

 イスラム国は前日の2日にも、クルド人自治区の民兵組織ペシュメルガ(Peshmerga)の管轄下にあったイラク北東部ズマル(Zumar)と、近郊の小規模油田2か所も掌握していた。イラク国営北部石油会社(North Oil Company)によると、2油田を合わせた生産量は日量2万バレルとされる。

 イスラム国が侵攻を続ければモスル(Mosul)北部の主要ダムも掌握される恐れが出ているが、クルド筋によればダムではペシュメルガの精鋭部隊ゼレバニ(Zerevani)がまだ持ちこたえているという。(c)AFP/Shwan Mohammed