【8月3日 AFP】英ロンドン(London)でも流行の最先端を行くイースト・ロンドン地区にあるバーの店内で、数十人の男女がプラスチックの袋をとっかえひっかえしては、鼻を突っ込んでにおいを嗅いでいる。袋の中身はドラッグではない。ちょっと汗臭いTシャツだ。

 ここに集まった好奇心旺盛な人々は全員、独身。これは、体臭が恋人選びの決め手になるという発想から生まれた新しい出会いの場「フェロモン・パーティー(Pheromone Party)」だ。

 参加者はパーティーに先立ち、3夜連続で同じ木綿Tシャツを着て寝る。制汗剤も香水もつけてはいけない。そして、自分の体臭だけが染み込んだTシャツをパーティー当日に持ち寄り、透明なプラスチックの袋に入れて、各自に割り振られた番号を女性はピンク色のラベル、男性は青色のラベルに書いて貼るのだ。

「何袋でもいいから、好きなだけにおいをかいで、楽しんでね!」――主催者のジュディー・ナデル(Judy Nadel)さんが叫ぶと、緊張気味の笑い声がちらほら上がった。その直後、フロア中央の大きなテーブルの上に並べられた袋に人々が一斉に駆け寄った。

 慎重に袋を開けておっかなびっくり嗅ぐ人もいれば、思い切り鼻を突っ込んでクンクンしている人もいる。

「こいつは確かに、数日間着たにおいだ」と1人の青年が皮肉っぽく言った。一方、青年の友人で弁護士の卵のスティーブン・ルーカスさん(23)は「どれも同じにおいだよ」とあっさり。「汗と、少しばかりの香水のにおい。でなきゃ、洗濯したてのにおいだね」

「これぞ自分の夢見たパートナー」というにおいを見つけた人は、その袋を手に写真を撮る。写真はプロジェクターで壁に投影され、選ばれたTシャツの持ち主が「求愛」に応じれば、カップル成立となる。

 口ひげを生やし、白いシャツの襟元を大きく開けて胸毛をアピールしていたある男性は、出会いのチャンスを増やそうと幾つもの袋を手につかんでいた。