【7月29日 AFP】ウクライナ東部、台湾、西アフリカのマリと、生存者が1人もいない航空機の墜落が1週間で3件も発生した。搭乗前の乗客たちがパニック的な恐怖を感じるのも無理はない。

 仏パリ(Paris)のシャルル・ドゴール空港(Charles de Gaulle International Airport)でチェックインを待っていたタイのスポーツ選手、タナパット・ルエアンマネエさん(25)は「ちょっとだけ、ナーバスになってるよ。僕の友達もほぼ全員だ」と話す。しかし、インターネット上ではもっと深刻に飛行機への恐怖感を語る言葉が行きかっている。

 航空機事故に関するフランス語のサイト「crash-aerien.aero」では、8月に韓国ソウル(Seoul)まで旅客機を利用するという人物が、これまでは「むしろ、禅」の気持ちで乗っていたのが、このところの事故で「パニックが復活してしまった」と悲嘆。

「飛行機恐怖症ドットコム」(fearofflying.com)という題の英語のサイトでは「他に飛行機事故は起きてないのかな? 明日アトランタ(Atlanta)からシカゴ(Chicago)まで行くんだけど無事、着けるかどうか不安。色々『訓練』してきたつもりだけど、今度はもうダメ、助けて」という書き込みもあった。

 同じサイトでこう書いたユーザーもいた。「今も手が震えて、キーボードが打てない。6か月で民間航空の事故は4度目でしょ。1機はいまだに行方不明、1機は撃墜され、1機は悪天候で墜落、それでまた1機。今週だけで3機」。

 25日に取材に応じた国際航空運送協会(International Air Transport AssociationIATA)のトニー・タイラー(Tony Tyler)氏も「これだけ短期間のうちに3件の悲劇的な事故が起きれば、多くの人が空の安全に疑問を持っても仕方ない」と認めた。

 墜落があるたびにフランスの「飛行機恐怖症治療センター」(Centre de Traitement de la Peur de l'Avion)」では電話が次々と鳴り始める。空軍パイロットだった同センターのグザビエ・ティテルマン(Xavier Tytelman)氏は「私たちの元患者さんが不安になった、聞きたいことがあると言ってかけてきます。説明をしながら、自分と起きた事故の間に距離を置けるよう支援します」という。

 センターでは主に呼吸法を通して事故のイメージや、患者の否定的な考えを取り除いている。「このところの事故では生存者はいなかったが、通常は飛行機が墜落した場合の生存率は50%。時速40キロの車の事故による死亡率80%よりも低い」とティテルマン氏は説明する。

 シャルル・ドゴール空港で、中国へ向かおうとしていたある学生は、こう述べた。「妄想に取りつかれることだってあると思う。けど、毎日何千便もの飛行機が何の問題もなく飛んでいる」。(c)AFP/Pauline FROISSART et Valentin BONTEMPS à Roissy