【7月25日 AFP】薬物投与による刑の執行で死刑囚の死亡まで2時間近くかかった問題で、米アリゾナ(Arizona)州当局は24日、批判に反論し、刑の執行は失敗していなかったと主張した。

 刑が執行されたのは、交際相手の女性とその父親を射殺したとして1989年に死刑が確定したジョセフ・ウッド(Joseph Wood)死刑囚(55)。あまり使用されていない混合薬物が投与され、2時間近くにわたって荒い呼吸を続けた後に死亡した。

 米国の刑執行において死刑囚が死亡するまでの時間は10分。しかし、各州当局が従来の薬物の不足への対応に苦慮する中、通常かかる時間より大幅に長く死刑囚が生存する事例は、今年に入って3例目となっている。

 批判が殺到する中、アリゾナ州当局者は24日、長引いた刑執行中にウッド死刑囚が苦しむことはなかったと反論した。

 アリゾナ州矯正局のチャールズ・ライアン(Charles Ryan)局長は声明で、アリゾナ州のジャン・ブルワー(Jan Brewer)知事の命じた調査の結果、薬物投与による刑の執行中、ウッド死刑囚は意識がなく苦しんでいなかったことが示されたと述べた。

 また、薬物が静脈に適切に注入されない場合には極度の苦痛が生じる場合が多いものの、検視の結果、薬物はウッド死刑囚の静脈に適切に注入され、静脈から漏れ出してはいなかったことが分かったという。

 ライアン局長によると、アリゾナ州司法長官は、ウッド死刑囚の事例の調査が終了するまで死刑の執行を禁止した。(c)AFP