【7月19日 AFP】尼僧ラッパーが躍動し、僧侶が歌う――こんな「仏教経典コンテスト」が17日、韓国・ソウル(Seoul)の曹溪寺(Jogyesa)で開催された。若い世代に仏教に親しんでもらおうと韓国最大の仏教組織、大韓仏教曹渓宗(Jogye Order)が実験的に主催したもので、300人を超える僧侶や尼僧が参加した。

 出場者の多くは若い僧侶たちで、300万ウォン(約30万円)の優勝賞金をかけ、古典的な仏典をアレンジして歌ったり、自ら作った念仏を披露したりした。

 中には、かなり大胆なアレンジを披露した面々も。

 尼僧3人のグループは、ラップにアレンジした般若心経に、愛と調和をたたえる自作の歌詞を交えたパフォーマンスを展開。灰色の袈裟(けさ)をまとった尼僧が、ラップにのせて「羯諦羯諦波羅羯諦」と唱えながら舞台を跳ね回り、観客の手拍子を誘った。

 別の尼僧も、ヒップホップのリズムに釈迦(しゃか)の教えを説く自作の歌詞をつけ、「あなたは1人じゃない。私たちの間にある壁を取り払って、皆で英知を分かち合いましょう」と歌った。

 尼僧たちは、このコンテストを真剣に受け止めており、この日のために1か月前から日夜、練習を重ねてきたという。「もっと多くの若者に仏教に興味を持ってもらい、経典に込められたメッセージを知ってほしい」と出場した尼僧の1人は話した。

 曹渓宗の信徒は1000万人とされる。韓国では高麗時代までは仏教が国教として栄えたが、現在ではキリスト教人口の方が多く、布教活動にも熱心だ。

 コンテストの審査員を務めた曹渓宗の高僧は、仏典の多くが一般の人々になじみのない古語で記されている点を指摘し、「出場者には簡単で分かりやすい言葉で経典を表現するよう求めた」と語った。(c)AFP/Jung Ha-Won