【7月16日 AFP】遺体を埋葬あるいは火葬される場所へと搬送するために霊きゅう車が使われることはごく一般的だ──しかし、自転車の普及率が高いことで知られるデンマークでは、このたび遺体の搬送に人力三輪車を選択することができるようになった。

 これはコペンハーゲン(Copenhagen)の葬儀社が発案したもので、自転車好きの国民には歓迎されているという。ただ、人間の最期はもっとおごそかに見送られるべきだという人たちからは批判的な意見も出ている。

「昔、馬車がひつぎを運んでいた写真を見て、このアイデアを思いつきました。とても美しく、女性らしさすら感じました」と、Sille KongstadさんはAFPに述べた。「問い合わせをしてくる家族の多くは、環境に配慮した搬送方法をと考えているようです」

 1回あたりの費用は、4万クローネ(約7万4000円)。中には、将来の自身の葬儀についての問い合わせもあるという。

 三輪車による最初の葬儀は19日に行われる。「人生に起きる大きなハプニング」が大好きだった95歳の男性を見送る。

 一方で、人力三輪車を使った葬儀には批判的な声も聞かれる。SNSのフェイスブック(Facebook)では、尊厳がなさすぎる、子供たちを怖がらせるといった意見も出ているという。

 これら批判的な意見についてKongstadさんは、ひつぎを車に乗せるのと三輪車に乗せるのに大した違いはないと反論。また死に対する恐怖感や不安感は、大人に比べて子どもたちの方が少ないと思うと述べた。

「デンマークでもほかの国でも、死に対してもっとオープンになるべきだと私は思います」と彼女は語る。「私たちがいつかは死ぬという事実は、この世界で最も自然なことで、唯一確かなことです」

(c)AFP