■スポーツ界における同性愛嫌悪の風潮

 同性愛者と異性愛者の同数から回答を集めた「Out on the Fields」の調べによれば、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルのアスリートの64パーセントが、人を傷つけるような冗談、侮辱、暴言は、一般社会よりもスポーツチームで多く聞かれると回答している。

 最も多く聞かれていたのは、「fag(オカマ)」「dyke(レズ)」「poofter(ホモ)」などの差別語や、同性愛をちゃかす冗談やユーモア、「それって、すごくゲイだね」のような軽率な発言だった。

 メルボルン(Melbourne)のビクトリア大学(Victoria University)で研究を行うキャロライン・シモンズ(Caroline Symons)氏は、「同性愛をちゃかすジョークやユーモアが、オーストラリアのスポーツの場面で一般的に受け入れられている一方で、誹謗(ひぼう)や中傷は性的指向にかかわらず品性に欠けるものだと考えられている」という。

 31歳のソープ氏は、同性愛者であることを告白し称賛を浴びたが、この流れが、スポーツにおける同性愛嫌悪の風潮を改善するとも考えられている。

 テレビ司会者マイケル・パーキンソン(Michael Parkinson)氏によるインタビューで、ソープ氏は、何度か「カミングアウトしたい」気持ちに駆られたが、告白できる気がしなかったと話した。

「オーストラリアがゲイのチャンピオンを望むかどうか、不安に思う自分がいた。でも僕は今、オーストラリアだけでなく世界に向けて、ゲイであることを表明する。これで、他の人にとっても(カミングアウトが)容易になるといいと思う」

 毎年恒例のゲイ・プライド・パレード「マルディグラ(Mardi Gras)」が有名なシドニー(Sydney)では、来月、ゲイラグビーのW杯であるビンガムカップ(Bingham Cup)が開催される。(c)AFP