スタジアムで収集できるリサイクル可能な資源ごみのほとんどは空き缶。ブラジルの缶製造業者協会によると、同国の空き缶リサイクル率は98%と世界一で、欧州平均の67%を大きく上回るという。

 世界一を誇れるのはカタドレスの力によるところが大きい。「全国カタドレス運動(National Catadores Movement)」のロネイ・アルベス(Ronei Alves)さんは、「政府の推計では国内に60万人のカタドレスがいるというが、実際は100万人を超える。また、多くの組合があり、労働条件の改善に取り組んでいる。だが、大半のカタドレスはごみ処理場で個人で働いているのが現状だ」と話した。

 復学が夢だと話すマレーネ・ラファエルさん(25)は、首都ブラジリア(Brasilia)郊外の無秩序に広がる屋外ごみ処理場で働いている。そこでは多くのカタドレスが労働契約もなく、健康保険にも加入していない状態で、悪臭に満ちたごみの山に登って作業をしている。

 ブラジルでは2010年にリサイクル法が成立したが、現場では進展がほどんどみられない。ブラジリアでも3か月前からリサイクル計画が実施されているが、効果は限定的だ。全国カタドレス運動のアルベスさんは「必要なインフラが整備されていない。ごみが処理場に次々と運ばれてくる状況は変わっていない」と話した。

 W杯で日本人サポーターは試合後、持参したごみ袋片手にスタンドのごみ拾いをして、現地の人たちを驚かせた。ごみ処理ではブラジルは日本などの国に後れを取っている。

 サンパウロ(Sao Paulo)の清掃作業員組合の代表は「われわれはまだかなり後れを取っている。一番進んでいるクリチバ(Curitiba)でさえリサイクル率は20%。サンパウロではわずか1.8%だ」と話した。(c)AFP/Yana MARULL