【7月3日 AFP】英科学誌ネイチャー(Nature)は2日、理化学研究所(Riken)の小保方晴子(Haruko Obokata)氏(30)らが執筆したSTAP細胞の2論文を撤回したと発表した。

 論文は1月に発表された際、「これまでの常識を覆す大発見」と称賛された。だが、複数のデータに誤りが見つかり、画像の説明文に不備があったことが判明。別の研究者たちによる検証実験でもSTAP細胞を再現できなかったことなどから、「両論文の共著者全員が、論文を支持することができないと結論づけ、撤回を決断した」とネイチャーは論説で説明した。

 今後は論文審査過程の厳格化を図っていく方針で、既に改善策として、研究での実験手法を詳細に記した添付資料の拡大や統計専門家によるデータ審査などを導入したという。

 STAP細胞論文は、科学論文をめぐってはここ10年で最大規模となる論議を巻き起こした。

 類似の騒動としては10年前、韓国の黄禹錫(ファン・ウソク、Hwang Woo-Suk)氏が科学誌サイエンス(Science)に発表したヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作製することに成功したとの2論文で、データの多くがねつ造だったことが後に発覚したものがある。一時は韓国の国民的英雄とたたえられた黄氏は、これにより名誉失墜した。(c)AFP/Richard INGHAM