【7月3日 AFP】イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相は2日、反政府勢力に対する大赦を発表した。広大な領土を制圧しイラク分裂の脅威をもたらしているイスラム過激派への支持を弱めることを狙った異例の融和策だ。

 イラクでは、イスラム過激派、処刑された故サダム・フセイン(Saddam Hussein)大統領の支持者、そして反政府部族からなる幅広い連合体が5つの州の広範な地域を掌握しており、大赦の発表はこの連合体の分裂を狙ったものとみられる。

 マリキ首相は週1回の定例テレビ演説で、「国家に反対する行動に関与したすべての部族と国民」のうち、これから「正気に戻る」者に対しては恩赦を与える意向を発表。ただ、殺人行為に関与した者は対象外だといい、大赦の対象人数は今のところはっきりしていない。

 アナリストらは、イスラム教シーア(Shiite)派主導の現政権に怒りを持つスンニ(Sunni)派のアラブ人を、同じ宗派の人々やイスラム過激派に背を向けるよう説得するためには、何らかの政治的和解が必要だとの見解を示してきた。

 イラクのスンニ派アラブ人の圧倒的多数は、武装勢力「イスラム国(Islamic State)」を積極的に支持しているわけではないが、アナリストらは、当局から不当な扱いを受けているとの不満を持つスンニ派らが、当局の治安部隊に協力する可能性は低いとみている。(c)AFP/W.G. Dunlop