【7月2日 AFP】共産主義時代のポーランドを象徴するかつてのモデル都市「ノバフタ(Nowa Huta)」に、旧ソ連の英雄レーニン(Lenin)の像が帰ってきた──ただし、黒い台座の上に立つ小さくて緑色の小便像として。

 ロシア革命を風刺したこの像は、クラクフ(Krakow)郊外にあるノバフタで、過去の苦難をともなった共産党時代にコミカルな終幕を与えようとしている。

「この過去におもしろおかしく超現実的な意味を与え、がれきを打ち砕き、笑いと隔たりを通じてトラウマを解放することが、われわれにもできるのだと示すことはできるだろうか」と、この像を妻と共に制作したアーティストのバルトス・シドロウスキ(Bartosz Szydlowski)氏は問いかけている。

 アートフェスティバルの一環として設置され、「未来の泉」と題された同像は、第2次世界大戦(World War II)後にポーランドがソ連の衛星国となった際に設置され1989年の体制崩壊で撤去された巨大なレーニン像が持っていたイデオロギー的な象徴性を取り払うことを目指している。

 蛍光色の同レーニン像は高さわずか68センチ、かつてのレーニン像の10分の1のサイズだ。社会主義リアリズムの厳格さや壮大さと対照をなすサイズと色合い、そして不適切なポーズをしている。

 ポーランド語で「新製鉄所」を意味するノワフタは、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)の発案で建設されたモデル工業都市であり、かつてポーランド王国の首都として重要な文化的、知的、宗教的中心地だった中流階級の都市クラクフに対抗するために作られた。(c)AFP/Maja Czarnecka